一般家庭向けのスタンダードな電力プランとして「従量電灯」というものがあります。
この記事では、従量電灯プランの中でも「従量電灯B」のプランに焦点を当て、対象となる家庭や電気料金の仕組みなどを解説していきます。
電気料金を安く抑えるためのポイントなどもまとめているので、現在従量電灯Bプランをご契約中の方はぜひ参考にしてみてください。
従量電灯Bってどんなプラン?
従量電灯プランとは、電力会社が一般家庭向けに提供しているスタンダードな電力プランの1つです。
従量電灯プランは更にA~Cの3プランに分かれており、家庭での電力消費量によって適性プランが異なります。
まずは、従量電灯A~Cの各プランの違いと、従量電灯Bプランの契約が適している家庭の特徴について詳しく見ていきましょう。
従量電灯A・B・Cプランの違い
従量電灯プランは、家庭で使用する電気の量によって毎月の請求額が決定されるベーシックな電力プランです。
供給電圧は単相100Vとなっており、契約容量に応じて以下の従量電灯A・B・Cという3プランに分かれます。
契約容量 | |
---|---|
従量電灯Aプラン | 5A |
従量電灯Bプラン | 10A~60A |
従量電灯Cプラン | 6kVA以上~50kVA未満 |
なお電力会社によっては、
- 60A未満の契約を従量電灯B・6kVA~50kVA未満の契約を従量電灯Cと表記(従量電灯Aがない・または別名)
- 60A未満の契約を従量電灯A・6kVA~50kVA未満の契約を従量電灯Bと表記(従量電灯Cがない・または別名)
というケースもあるため、契約プランを確認する際は契約容量までチェックするようにしましょう。
当記事では、関西電力などの大手電力会社の表記に合わせ、“60A未満の契約を従量電灯A・6kVA~50kVA未満の契約を従量電灯B”として以下解説していきます。
従量電灯Bプランの対象となる人
従量電灯Bプランとは、6kVA~50kVA未満の契約容量を設定している方が該当するプランのことです。
従量電灯Aプランよりも契約容量が大きいため、電灯や小型機器の使用率が高い一般家庭の他、商店・事務所・飲食店などで契約されることが多いプランとなっています。
オール電化を使用している家庭や、深夜のみ稼働する店舗、また工場のように高圧電力が必要な施設を除き、電気使用量の多い家庭・商店・事務所等であれば、従量電灯Bを契約している可能性が高いでしょう。
なお、どの電力プランを契約しているか分からないという場合は、毎月の検針票や請求書をご確認ください。
従量電灯Bの電気料金の仕組みをわかりやすく解説
続いて、従量電灯Bプランの電気料金の仕組みと計算方法を詳しく見ていきましょう。
なおここでは例として、関西電力が提供している従量電灯Bプランの料金を用いて計算しています。
従量電灯Bの料金単価
従量電灯Bの電気料金は、主に「基本料金」と「電力量料金」の合計額で構成されています。
基本料金は契約容量に基づいて計算される料金で、電気の使用量に関わらず毎月支払いが必要です。
また電力量料金は電気使用量に応じて計算される料金で、毎月の使用量によって金額が変動していきます。
関西電力の従量電灯Bプランに設定されている各料金の単価は以下の通りです。
単位 | 料金単価 | |
---|---|---|
基本料金 | 1kVA | 396.00円 |
電力量料金 | 1kWh | 最初の120kWhまで:17.91円 |
120kWhをこえて300kWhまで:21.12円 | ||
300kWhをこえた分:23.63円 |
上記の基本料金単価に契約容量を乗じた金額と、電力量料金単価に電気使用量を乗じた金額を足した金額が毎月の電気料金として請求される仕組みです。
なお実際には、上記の他にも燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金などが加減されますが、ここでは割愛としています。
従量電灯Bの契約容量の算定方法
契約容量は、家庭や店舗で使用される電気機器の容量(入力)の合計に、一定の係数を乗じることで算定します。
乗じる係数は「電気特定小売供給約款」に定められており、契約容量によって以下の通り圧縮を行うというものです。
契約容量 | 容量圧縮係数 |
---|---|
0から6kVA | 95% |
6kVAをこえて20kVAまで | 85% |
20kVAをこえて50kVAまで | 75% |
50kVAをこえた分 | 65% |
例えば、事務所として利用する施設において、以下の条件で従量電灯Bプランを契約すると仮定しましょう。
電灯数 | 20 |
---|---|
コンセント数 | 40 |
エアコン | 2台(各1.9kVA) |
コピー機 | 1台(1.0kVA) |
この場合、使用する電気機器の容量合計は以下の計算で求められます。
電灯・コンセント | 5.5kVA(電気特定小売供給約款の標準容量換算表より算定) |
---|---|
エアコン | 3.8kVA(1.9kVA×2) |
コピー機 | 1.0kVA(1.0kVA×1) |
合計 | 10.3kVA |
6kVAまでは95%、20kVAまでは85%の圧縮係数を乗じる必要があることから、最終的な計算式は以下のようになります。
6kVA×95%+(10.3kVA-6kVA)×85%=9kVA(小数点以下第1位を四捨五入)
よって、この施設で従量電灯Bプランを契約する場合、契約容量は9kVAになるということです。
電気料金の計算例をチェック!
次に、上記の料金単価・契約容量で実際に従量電灯Bを契約した場合の電気料金を計算してみましょう。
1か月の使用電力量が1,000kWhだったと仮定すると、その月の電気料金は以下のように求められます。
基本料金 | 396.00円×9kVA=3,564円 |
---|---|
電力量料金 | 最初の120kWhまで:17.91円×120kWh=2,149.20円 |
120kWhをこえて300kWhまで:21.12円×180kWh=3,801.60円 | |
300kWhをこえた分:23.63円×700kWh=16,541.00円 | |
合計 | 26,055.80円 (※燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金などは考慮せず) |
ご家庭の電気料金を安くする方法はこれ!
ここからは、月々の電気代を安く抑えたいという方に向けて、簡単にできる節約術をご紹介します。
また契約そのものを見直すことで電気代を根本から節約するという方法もあるので、従量電灯Bから別プランへの切り替えをお考えの方もぜひ参考にしてみてください。
家庭でできる電気代の節約術
月々の電力量料金を安くしたい場合は、以下のような方法で電気の使用量を抑えるのが効果的です。
電気代の節約ポイント | 具体策 |
---|---|
待機電力を減らす | 使っていない家電製品のコンセントを抜く など |
電化製品の手入れ | エアコンフィルターの掃除 など |
設定温度の調整 | エアコンの設定温度を環境省の推奨値に合わせる(冷房28度・暖房20度) など |
古い家電の買い替え | 電力消費の激しい旧式家電から、節約を意識したエコ家電に買い替える など |
根本から料金を安くするなら契約会社・プランの見直しがおすすめ
電力量料金だけでなく基本料金も安くしたいという場合は、契約会社・プランの見直しがおすすめです。
2016年に電力の小売りが自由化されて以降、大手電力会社の他にも様々な企業が電力販売に参入しています。
電気料金のプランも多様化しており、定額制のプランや使用時間によって金額が変動するプランなど、現在はライフスタイルに応じてより最適なプランを選択することが可能です。
引越しの際に大手電力会社の従量電灯Bプランを契約し、その後一度も契約の見直しを行っていないという場合は、新電力のプランに切り替えるだけで大幅に節約できる可能性があります。
まずはシミュレーションサイトで各社の電気料金を比較したり、プロの見直し業者に相談したりして、現在の契約を見直すところからはじめてみると良いでしょう。
まとめ
- 従量電灯Bプランは、一般家庭の中でも電気使用量の多い家庭、また商店・事務所・飲食店などで契約されることの多い電気プラン(関西電力の場合)
- 従量電灯Bの料金は主に基本料金(単価×契約容量)と電力量料金(単価×電気使用量)から構成されている
- 日々の節約の他、契約そのものを見直すことで月々の電気代を大幅に節約できる可能性がある
株式会社ミナオスでは、電気料金をはじめ水道・ガスなどの固定費の見直し・最適化サービスを提供しています。
適性プランのご提案から契約切り替えの手続きまでをワンストップで実施しているので、契約の見直しをお考えの方はお気軽にお問い合わせください。