業務用機器向けの電力プランである低圧電力(動力プラン)は、電力量料金の単価が安い一方で基本料金が高くなりやすいという特徴を持っています。
この記事では、低圧電力(動力プラン)の基本料金を平均の半額程度まで節約できる2つの方法を解説。
電気代の見直しに使えるサービスなども紹介しているので、基本料金を安くしたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
低圧電力(動力プラン)の基本料金を半額にする2種類の方法
低圧電力(動力プラン)の基本料金を半額程度まで節約する方法として、以下の2種類が挙げられます。
- 電力使用量を0kWにする(=電気を一切使わない)
- 基本料金が安い新電力会社の低圧電力(動力プラン)に切り替える
まずはそれぞれの方法について、概要や料金例などを詳しく見ていきましょう。
電力使用量を0kWにする
低圧電力(動力プラン)の基本料金を半額に抑える1つ目の方法は、電力使用量を0kWにするという方法です。
電力会社のWebサイトを見てみると、実際に以下のような説明が記載されています。
低圧電力のご契約でエアコンをお使いのお客さまへ
機器本体のスイッチを切っただけでは機能上少量の電気が流れるものがあり、ご使用になっていなくても、使用電力量が出てしまいます(使用電力量が0kWhの月は、基本料金は半額ですが、使用電力量が1kWhでも出ると基本料金を全額いただくことになります)。
引用元:東京電力Webサイト(https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old02.html)
動力機械が常に稼働している場合は使えませんが、季節によって一切使わない月があるといった場合、その月はブレーカーを切っておくなどして電力使用量が0kWになるよう対策すると良いでしょう。
新電力に切り替えて基本料金を削減!
大手電力会社の低圧電力(動力プラン)を契約している場合は、基本料金が安い新電力会社への切り替えを検討するのもおすすめです。
新電力会社とは、電力自由化によって電気事業へ参入してきた電力会社のことで、大手電力会社と比較して基本料金を安く設定しているところが多いという特徴があります。
中には低圧電力(動力プラン)の基本料金が大手電力会社の半額程度に設定されている新電力会社もあります。
例えば「レーベン電気」で低圧電力(動力プラン)を契約した場合の基本料金は以下の通りです。
大手電力会社の基本料金(1kWあたり) | レーベン電気の基本料金(1kWあたり) | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 1,287円 | 643.5円 |
東京電力エリア | 1,065.90円 | 763.89円 |
中部電力エリア | 1,144円 | 560.19円 |
関西電力エリア | 1,078円 | 509.26円 |
九州電力エリア | 1,012円 | 611.12円 |
平均すると、レーベン電気の基本料金は大手電力会社の約45%と半額近く安いことが分かります。
また中部電力エリアや関西電力エリアについては大手電力会社の半額以下となっており、新電力会社の方が基本料金がお得になりやすいと言えるでしょう。
ただし、基本料金が半額になる反面、電力量料金の単価が高く設定されているケースもあるため、電力会社を比較する際は双方のバランスをチェックすることが大切です。
契約電力の決定方法を見直すことで電気代を節約できる場合も
低圧電力(動力プラン)の基本料金は以下の計算式で求められます。
<基本料金=基本料金単価×契約電力>
この“契約電力”の決め方には「主開閉器契約(ブレーカー)」と「負荷設備契約」の2種類があり、どちらを採用しているかによって基本料金にも違いが出てきます。
続いて、それぞれの契約の概要と基本料金の計算方法について詳しく見ていきましょう。
主開閉器契約(ブレーカー)と負荷設備契約
メインブレーカー(契約主開閉器)の定格電流値に基づいて契約電力を算定する方式を主開閉器契約といい、以下のようなケースでは主開閉器契約の選択が適しています。
- 複数の電力機器が設置されているものの、一度にすべての機器を使用することはない
- 日によって使用する電力機器が異なる・不稼働の機器が多い
一方負荷設備契約とは、使用する電力機器(契約負荷設備)の総容量に基づいて契約電力を算定する方式です。
24時間体制で全ての電力機器がフル稼働(長時間稼働)状態となるようなケースでは、負荷設備契約の方が適していると言えます。
契約電力の計算方法
主開閉器契約では、以下の式で契約電力を求めます。
<契約主開閉器の定格電流(A)×電圧(V)×1.732>
例えば定格電流値が50Aで電圧が200Vの場合、50A×200V×1.732≒17kWで契約電力は17kWです。
一方負荷設備契約の場合は以下の3ステップで契約電力を計算します。
- 既定の換算率を用いて各機器の入力容量を求める
- 各機器に既定の係数を乗じたうえで全ての値を合計する
- 合計値に既定の係数を乗じる
例えば出力6.5kWのモーター2台、出力5.5kWのヒーター1台を使用していると仮定した場合、最終的な契約電力は20kWです。(詳しい計算過程や係数は別記事「低圧電力の契約容量を計算する方法は?例を用いてわかりやすく解説」をご参照ください。)
東京電力の低圧電力(動力プラン)の基本料金単価(1,065円90銭)を用いた場合、それぞれの基本料金は以下の通りとなり、今回の例では主開閉器契約の方が料金を抑えられることが分かります。
- 主開閉器契約:17kW×1065円90銭=18,120円30銭
- 負荷設備契約:20kW×1065円90銭=21,318円00銭
このことから、契約電力の決定方法の切り替えによって、半額とまではいかないものの、ある程度電気代を安く抑えられる可能性があると言えるでしょう。
月々の電気代を節約するなら契約の見直しをしよう
電力会社や契約電力の決定方法を変更することで、低圧電力(動力プラン)の基本料金を半額近くまで抑えられる場合があります。
とは言え、「新電力会社なら必ず半額になる」「主開閉器契約にすれば必ず安くなる」というわけではなく、現在の動力機械の稼働率や台数などに応じて適切なプランを選ぶことが大切です。
シミュレーションサイトを活用して、電気料金の見直しを行ってみましょう。
シミュレーションサイトでは、電力供給エリアや契約電力、月々の電力使用量などから年間の電気代を算出することができ、契約見直しの際の参考として利用できます。
また、より本格的に契約の見直しを行いたい場合は、料金見直しを専門に行うプロの業者へ依頼するのも1つです。
株式会社ミナオスでは、電気代の見直しや適性プランの提案などを行っているので、低圧電力(動力プラン)の基本料金が高くて悩んでいるという方はぜひ一度ご相談ください。
低圧電力(動力プラン)の基本料金を半額にする方法まとめ
- 新電力に切り替えることで、低圧電力(動力プラン)の基本料金を半額近くまで抑えられる可能性がある
- 半額とまではいかないものの、契約電力の決定方法を見直すだけでもある程度料金を安くできる
- 「このプランなら必ず半額になる」というものはなく、使用状況に適した契約プランを選ぶことが大切
低圧電力(動力プラン)は基本料金が高くなりやすいプランですが、新電力会社の活用や契約方法の見直しによって半額近くまで節約することも可能です。
株式会社ミナオスでは、電気代の他にもガス・水道・固定資産税といった各種固定費の見直し・最適化を行っているので、コスト削減でお悩みの方は一度お問い合わせください。