低圧電力(動力)は、主に動力機器(業務用エアコン・冷蔵庫等)を扱う商店・事務所向けの電力プランです。
この記事では、低圧電力(動力)プランの電気料金の仕組みと節約のポイントを紹介します。
近年加速している電気料金の値上げについても解説しているので、低圧電力(動力)プランを契約中の方、また契約を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
【低圧電力】電気料金計算方法
低圧電力(動力)プランの電気料金は以下の計算式によって算出されています。
<低圧電力の電気料金=基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金>
まずは低圧電力の電気料金を構成する各要素の概要を見ていきましょう。
基本料金
基本料金は契約電力に基づいて計算される料金のことです。
使用量が0kWhの場合は半額になるといったルールもありますが、基本的には毎月決まった金額が請求されます。
動力プランの契約電力の決定方式には以下の2種類があり、選択した方式によって低圧電力の電気料金が異なります。
主開閉器契約 | メインブレーカーの定格電流値を基に契約電力を求める方法。設置されている電力機器を一度にすべて使うわけではないケースや、日によって使用する機器が異なるケースでお得になりやすい。 |
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負荷設備契約 | 使用する電力機器(契約負荷設備)の総容量に基づいて契約電力を求める方法。24時間体制で全ての電力機器がフル稼働(長時間稼働)状態となるようなケースでお得になりやすい。 |
また低圧電力の動力プランの場合、「力率」による料金の割引・割増が行われる点も特徴の1つです。
「力率」とは、皮相電力(電気機器を動かすために送り出される電力)に対する有効電力(実際に消費される電力)の割合を示す値のことで、電力会社が定める基準値との差によって以下のように料金が変動します。
力率85%の場合 | 割引・割増なし |
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力率85%を上回る場合 | 基本料金を5%割引 |
力率85%を下回る場合 | 基本料金を5%割増 |
電力量料金
電力量料金は月々の電気使用量に基づいて計算される料金のことです。
電気を使用した月に使用した分だけの金額が請求される仕組みで以下の式で算出されます。
<単価×使用量>
低圧電力の動力プランの場合は季節によって2パターンの電力量料金単価が設定されており、夏季の方が単価が高い傾向にあります。
燃料費調整額
燃料費調整額は、電力の原材料(原油・石炭・LNG(液化天然ガス))の価格変動に応じて加減される料金のことで、計算方法は以下の通りです。
- 火力燃料(原油・石炭・LNG(液化天然ガス))の3ヶ月間の貿易統計価格に基づいた平均燃料価格を算定
- 算定された平均燃料価格(実績)と基準燃料価格を比較
- 平均燃料価格(実績)が基準燃料価格を上回る場合はプラス調整、下回る場合はマイナス調整を行う
各月分の燃料費調整単価は、3ヶ月間の貿易統計価格に基づいて算定され、2ヶ月後の電気料金に反映されます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱等)から発電された電気を電力会社が買い取る際にかかった費用の一部を、契約者に負担してもらうための仕組みです。
金額は経済産業大臣によって定められ、毎年5月分から翌年4月分の電気料金に反映されます。
2022年5月から2023年4月までの賦課金単価は3.45円/kWhとなっており、<賦課金単価×電力使用量>で算出された金額が毎月の電気料金に加算されます。
低圧電力の電気料金を節約するには
続いて、低圧電力(動力)プランの電気料金を安く抑えるためのポイントについて詳しく見ていきましょう。
料金を値上げする電力会社が増加
大手電力会社をはじめ、多くの電力会社で2023年4月以降の電気料金の値上げが発表されています。
この値上げの背景として挙げられるのが、前述した電気料金の構成要素に含まれる「燃料費調整額」の高騰です。
電力の原材料となる原油・石炭・LNG(液化天然ガス)の価格変動に応じて加減される燃料費調整額ですが、近年は以下のような要因から高騰傾向が続いています。
- 円安による輸入額の高騰
- ロシア・ウクライナ問題に伴う供給減
- 脱炭素化に向けた世界的なLNGの需要増
- コロナ禍による経済の停滞 等
特に円安問題やロシア・ウクライナ問題は現時点で解決の見込みが立っておらず、今後もしばらくは燃料費調整額の高騰が続くと予想されています。
こうした状況から、電力の安定供給を継続するための対策として低圧電力の電気料金を値上げする電力会社が増加しているのです。
低圧電力の節電ポイント
低圧電力(動力)プランの電気料金を節約するためのポイントとして、以下のような点が挙げられます。
進相コンデンサを設置する
進相コンデンサとは、力率を改善するために設置される機器のことです。
進相コンデンサが持つ“進み”の無効電力と電気機器に存在する“遅れ”の無効電力を相殺させることで、全体の無効電力を抑える仕組みとなっています。
コンデンサの設置によって力率が改善されれば、低圧電力(動力)の電気料金が安くなる他、電力設備の損失軽減や電圧の安定性向上といったメリットも期待できます。
電子ブレーカーに切り替える(主開閉器契約の場合)
主開閉器契約で低圧電力を使用する場合は、電子ブレーカーへの切り替えもおすすめです。
通常は電力使用量が規定値を超過すると即座にブレーカーが落ちますが、電子ブレーカーの場合は別途超過の許容範囲が定められており、わずかな超過であればブレーカーが落ちない仕組みとなっています。
これにより、停電防止等の目的であえて契約電力を大きく設定するといった必要がなくなり、適切な契約電力で低圧電力を使用できるようになります。
契約会社を見直す
低圧電力の電気料金を根本から節約するなら、電力会社の見直しがおすすめです。
これまでは各エリアの大手電力会社が契約を独占していましたが、電力自由化以降は多くの新電力会社が参入し、自由に契約先を選択することが可能となっています。
新電力会社が提供する多彩なプランを活用することで、電気料金の節約やポイント還元による利便性向上等を期待できるでしょう。
確実に電気代を節約するなら「PinTでんき」がおすすめ
数ある新電力の中でおすすめしたいのが、東京電力のグループ会社が運営する新電力「PinTでんき」です。
PinTでんきは、低圧電力における電力量料金単価が一定になっている点が大きな特徴で、電気使用量の上下が大きかった月でも電気料金の変動を比較的抑えられるというメリットがあります。
またPinTでは「PinTでんき」および「PinTガス」、「TEPCOひかり」(インターネット接続サービス)の3つのサービスを提供しており、それぞれの契約内容に応じて以下のポイントを受け取ることができます。
サービス料金合計額 | ポイント率 |
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5,000円までの100円につき | 1pt |
5,000円をこえ 20,000円までの100円につき |
3 pt |
20,000円をこえ50,000円までの100円につき | 5 pt |
50,000円をこえる100円につき | 7 pt |
例えばサービス料金の合計が30,000円の場合は1,000pt(5,000円×1%+15,000円×3%+10,000円×5%)が還元され、このポイントを利用してサービス料金の割引を行うことが可能です。
低圧電力をより安く使用したい場合は、ぜひPinTでんきへの切り替えをご検討ください。



まとめ
- 低圧電力(動力)プランの電気料金は<低圧電力の電気料金=基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金>で計算される
- 近年は燃料費調整額の高騰により、低圧電力の電気料金単価を値上げする電力会社が増えている
- 低圧電力の電気料金を安く抑えるには、力率改善や電力会社の見直し等による根本的な対策が必要
低圧電力(動力)は低圧電力(従量電灯)と比較して電気料金が安くなりやすいプランではあるものの、昨今の値上げによる影響は決して少なくないと言えるでしょう。
電気料金は毎月の支払いが必要な固定費の1つであるため、大幅な値上げを避けるためにも、早い段階から契約の見直し等を行っていくことが大切です。


