低圧電力の基本料金を安く抑える手段の1つに「電子ブレーカー」の導入があります。
この記事では、電子ブレーカーの概要と一般的なブレーカーとの違いについて解説していきます。
電子ブレーカーを導入するうえで必要となる契約や注意点などもまとめているので、低圧電力の契約をお考えの方、また電気料金の節約方法でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
低圧電力(動力)なら電子ブレーカー導入で料金が安くなるかも
ブレーカーの一種である「電子ブレーカー」は、電気代に含まれる基本料金の削減を見込める省コスト機器です。
導入できる電力プランは限られているものの、状況によっては基本料金を最大50%近くまで削減できる場合があり、低圧電力を契約している法人などで導入が進んでいます。
まずは、電子ブレーカーの概要と、電子ブレーカーを活用した電気代節約のポイントについて詳しく見ていきましょう。
一般的なブレーカーの仕組み
電子ブレーカーのメリットを理解するには、先に従来型のブレーカーの仕組みを知っておく必要があります。
一般的なブレーカーの場合、電力使用量が規定値を超過すると、設備へ負荷がかかることを防ぐためにブレーカー側で電流を遮断するという仕組みになっています。
エアコンや電子レンジなど複数の電化製品を同時に使用したことが原因で、ブレーカーが落ちて電気が止まってしまうという状況になるのはこのためです。
過剰な電流から設備を守りつつ、安全に電気を使用するためにも、ブレーカーの仕組みは不可欠です。
しかし、例えば電流値の超過がほんのわずかなもので、設備への負荷を無視できる範囲であったとしても、ブレーカーは瞬間的に電流を遮断してしまうという特徴があります。
そのため、何度も電流が遮断されて電気が止まってしまうということがないように、ある程度余裕をもって契約容量を設定する必要が出てきます。
つまり、一般的なブレーカーの場合、実際には必要のない部分まで基本料金を支払わなければならず、コスト面の負担が大きくなりやすいという難点があったのです。
電子ブレーカーの場合は?
電子ブレーカーの場合も、電力使用量が規定値を超過するとブレーカーが落ちるという仕組みは同様です。
しかし一般的なブレーカーと異なり、電流値の超過がわずかな場合であれば、電流を遮断しないように調整することが可能となります。
これは、電子ブレーカーの内部に搭載されているCPUが電流値を正確に感知することで、電流値の超過が許容範囲内であるかどうかを測定し、細かく制御できるためです。
“許容範囲”となる電流値は日本産業規格(JIS)で定められており、電子ブレーカーの場合はこの許容範囲を上回ったところで電流が遮断されるようになっています。
つまり、停電の頻度を下げるためにあえて契約容量を大きく設定するといった必要がなくなり、一般的なブレーカーの使用時と比較して電気の基本料金を安くできるということです。
電子ブレーカーの導入に必要な“主開閉器契約”とは
基本料金の削減に効果を期待できる電子ブレーカーですが、全ての電気契約で導入できるわけではありません。
電子ブレーカーの導入対象となる契約は低圧電力の動力プランで、かつ契約容量の算定方法が「主開閉器契約」である場合に限られます。
低圧電力には低圧電力(従量電灯プラン)と低圧電力(動力プラン)の2種類があり、低圧電力(動力プラン)の方が供給電圧が高く、主に業務用機器を扱う店舗・工場などで契約されています。
また契約容量の算定方法も主開閉器契約と負荷設備契約の2種類に分かれており、それぞれ以下のような特徴・違いを持っています。
主開閉器契約 | メインブレーカーの定格電流値を基に契約電力を求める方法。設置されている電力機器を一度にすべて使うわけではないケースや、日によって使用する機器が異なるケースでお得になりやすい。 |
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負荷設備契約 | 使用する電力機器(契約負荷設備)の総容量に基づいて契約電力を求める方法。24時間体制で全ての電力機器がフル稼働(長時間稼働)状態となるようなケースでお得になりやすい。 |
使用する電力機器が常にフル稼働となっている場合を除き、基本的には主開閉器契約の方が電気料金を安く抑えられる可能性が高いと考えられます。
ま主開閉器契約の場合はブレーカーの容量で契約電力が決まるため、電子ブレーカーの導入で使用実態に適した容量を設定できれば、基本料金の大幅な削減も見込めるでしょう。
電子ブレーカー導入の注意点は2つ
電気契約のプランが低圧電力(動力プラン)かつ主開閉器契約であれば、電子ブレーカーの導入で基本料金を削減できる可能性があります。
しかし、月々の電力使用量などによってはあまり節約効果を得られないケースもあるため、電子ブレーカーの導入にメリットがあるかどうかをしっかりと見極めることが大切です。
ここからは、電子ブレーカーの導入にあたってチェックするべき注意点を解説していきます。
推奨される電力規模
電子ブレーカーを導入する場合、現地調査・工事・本体代金を含め50万円程度の費用が必要となります。
そのため、低圧電力の契約電力が10kW未満である場合など、電力使用の規模が比較的小さいケースでは、投資費用を回収できるほどの節約メリットを得られない可能性があるのです。
電子ブレーカーの導入で電気代の削減効果を得ようとする場合は、低圧電力の契約電力が15kW以上であることが望ましいと言えるでしょう。
リース契約の場合、期間によっては支出額が大きくなる可能性も
電子ブレーカーのリース契約を結び、一定期間にわたって毎月リース料を支払うというケースもあります。
リース期間は7年程度が一般的とされますが、例えば5年以下の短い期間でリースを結んだ場合、月々の支払費用が電気料金の削減額を上回る可能性も出てくるでしょう。
電子ブレーカーは耐用年数が10年程度と長く、故障するリスクなども低いため、支払費用が削減額を上回らない範囲でリース期間を設定することをおすすめします。
低圧電力の契約見直しだけでも電気料金は安くできる!
電子ブレーカーを導入する以外にも、例えば以下の方法で基本料金の削減を見込める場合があります。
- 電力会社を大手電力会社から新電力に切り替える
- 低圧電力(従量電灯プラン)から低圧電力(動力プラン)に切り替える
- 負荷設備契約から主開閉器契約に切り替える など
どの契約プラン・算定方法が適しているかは電力の使用状況などによって様々ですが、いずれの場合でも、現在の契約を見直すことで電気料金を安くできる可能性は十分に考えられます。
株式会社ミナオスでは、電気契約の見直しや最適化の提案を行っており、過去には年間1,000万円以上のコスト削減に成功した事例も。
特に介護・福祉施設におけるコスト削減の実績が豊富にありますので、低圧電力を契約中で、かつ電気代の節約方法でお悩みの事業者さまは、ぜひ一度ミナオスへご相談ください。
まとめ
- 一般的なブレーカーと異なり、電子ブレーカーなら電力使用量に合わせた契約電力の設定が可能
- 低圧電力(動力プラン)かつ主開閉器契約であれば、電子ブレーカーの導入で基本料金の大幅な削減を見込める
- 電子ブレーカーの導入に限らず、現在の契約内容の見直し・最適化でコストダウンを実現できる場合もある
株式会社ミナオスでは、電気料金だけでなくガス・水道・固定資産税などの見直し・最適化も実施しています。
年間の固定費を大幅に削減できる可能性があるので、会社のコスト削減でお悩みの方はぜひ一度ミナオスまでお問い合わせください。