低圧電力(動力)プランとは、電力会社が提供する業務用機器向けの電力プランのことです。
この記事では、低圧電力(動力)プランとはどういったものか、また利用メリットとは何かをまとめています。
電力プランの見直しは企業のコスト削減にも繋がるポイントですので、ぜひ参考にしてみてください。
低圧電力(動力)プランとは?わかりやすく解説
そもそも「電圧」とは、電流を送り出すために必要となる力の量のことです。
電圧が高くなるほど力が大きくなり、契約電力が50kW以上のものを「高圧電力」、50kW未満のものを「低圧電力」として区分します。
ここでは主に「低圧電力」に着目し、どこで利用されているのか、また利用するメリットとは何かを解説していきます。
なぜ低圧電力が使われるのか?
低圧電力(動力)プランとは、契約電力が50kW未満の電力プランのことです。
電気の消費が大きい業務用機器向けのプランで、一般家庭向けの従量電灯プランと比較して、電力料金が安くなりやすいという特徴があります。
これは、従量電灯プランでは“月々に使用した電気量によって電力料金の単価が変動する”のに対し、低圧電力(動力)プランの場合は“電気量にかかわらず電力料金の単価が固定”となることが理由です。
低圧電力(動力)プランの方が基本料金が高いケースもありますが、電力料金の部分でそれ以上の節約効果を見込めるのであれば、結果として低圧電力(動力)プランの方がお得と言えるでしょう。
低圧電力(動力)プランと従量電灯プランの詳しい料金の違いについては次章で解説します。
低圧電力が向いている場所
低圧電力(動力)プランが業務用の電力プランであるとはいえ、店舗なら必ずしも低圧電力(動力)プランが適しているのかというと、そうとは限りません。
例えば個人経営の店舗など、一般家庭用の家電を用いた経営であれば、従量電灯プランの契約で問題ないでしょう。
一方で、以下のような業務用機器を使用する店舗・施設・事業所などにおいては、低圧電力(動力)プランの契約が求められます。
- 業務用エアコン
- 業務用冷蔵庫
- エレベーター
- 給排水設備
- 製造機器 など
これらの業務用機器は「三相200V」という3つ穴コンセントの電源を使用することから、一般家庭向けの2つ穴コンセント(単相)では対応ができません。
そのため、事業を行ううえで上記のような機器を用いる場合は、低圧電力(動力)プランの契約が必要になるのです。
高圧電力や特別高圧電力も存在する
高圧電力とは、契約電力が50kW以上の電力プランのことです。
受電時の電圧が高いため、キュービクルと呼ばれる高圧受電設備を設置して変圧を行うのが特徴。
電気の使用量がより大きい施設が対象で、主に工場・病院・大型商業施設などで契約されています。
また高圧電力よりも更に電圧が高い「特別高圧電力」(契約電力:2,000kW以上)などもあります。
電気料金はどれくらいになる?
低圧電力(動力)プランと従量電灯プランとは、電力料金が具体的にどの程度異なるのでしょうか。
続いて、大手電力会社のプランを参考にしながら、それぞれの料金の違いについて確認していきましょう。
大手電力会社の電力料金プラン
大手電力会社における従量電灯プランの料金は以下の通りです。
電力会社 | 基本料金 | 電力料金(1kWhあたり) |
---|---|---|
北海道電力 | 341円(10A)~2046円(60A) | 23.97円(~120kWh)/30.26円(120~280kWh)/33.98円(280kWh~) |
東京電力 | 286円(10A)~1716円(60A) | 19.88円(~120kWh)/26.48円(120~300kWh)/30.57円(300kWh~) |
中部電力 | 286円(10A)~1716円(60A) | 21.04円(~120kWh)/25.51円(120~300kWh)/28.46円(300kWh~) |
関西電力 | 396円(1kVAあたり) | 17.91円(~120kWh)/21.12円(120~300kWh)/23.63円(300kWh~) |
九州電力 | 297円(10A)~1782円(60A) | 17.46円(~120kWh)/23.06円(120~300kWh)/26.06円(300kWh~) |
続いて、大手電力会社における低圧電力(動力)プランの料金です。
電力会社 | 基本料金 | 電力料金(1kWhあたり) |
---|---|---|
北海道電力 | 1287円 | 17.67円(通年) |
東京電力 | 1065.90円 | 17.37円(夏季)/15.80円(その他) |
中部電力 | 1144円 | 17.01円(夏季)/15.46円(その他) |
関西電力 | 1078円 | 14.43円(夏季)/12.95円(その他) |
九州電力 | 1012円 | 17.12円(夏季)/15.43円(その他) |
このように、低圧電力(動力)プランと従量電灯プランとは、低圧電力(動力)プランの方が電力料金が安いことが分かります。
基本料金は低圧電力(動力)プランの方が高くなる可能性もありますが、電気の使用量が多い店舗・事業所の場合は、電力料金が安くなることのメリットの方が大きくなると言えるでしょう。
基本料金の力率割引
ほとんどの大手電力会社では、力率による基本料金の割引を実施しています。
力率とは、電源から出た電力(皮相電力)のうち、実際に消費された電力(有効電力)の割合のことです。
電気代として請求される金額は有効電力に対するものであるため、有効電力が少ない(=力率が低い)場合は電力会社にとって損失となってしまいます。
そこで、基準値となる“力率85%”を上回る場合は1%ごとに基本料金を割引、逆に下回る場合は1%ごとに基本料金を割増し、力率が高くなるような工夫がされているのです。
無駄に料金を支払ってるかも?見直しをしてコスト削減しよう
「現在の契約プランに満足していない」「もっと電気料金を抑えたい」といった場合には、電力会社・プランの見直しを行うのがおすすめです。
これまでは各地域の電力会社(東京電力・関西電力・中部電力など)での契約しか手段がありませんでしたが、2016年の電力自由化により、大手以外の電気事業者(新電力)との契約も可能になりました。
新電力でも低圧電力(動力)プランを利用できるため、すでに低圧電力(動力)プランを契約している場合でも、プランや料金の見直しによって電力料金を節約できる可能性があります。
低圧電力の見直し方法やシミュレーションのポイントは以下の記事で解説しているので、こちらもご参照ください。
低圧電力とは|まとめ
- 低圧電力とは、業務用機器向けに設定された契約電力50kW未満の電力プランのこと
- 電力料金の単価が安く使用量による変動もないため、電気の使用量が多いケースで節約効果を見込める
- 電力自由化で幅広い電力会社・プランを選択できるようになったため、すでに低圧電力を契約している場合でも料金を見直してみるのがおすすめ
低圧電力とはどういったものか、低圧電力に切り替えるメリットとは何かという点を解説しました。
株式会社ミナオスでは、電気料金をはじめ、ガス・水道・固定資産税などの適正化サービスを提供しています。
コストの見直し・適正化は事業運営において欠かせないテーマですので、月々の支出でお悩みの企業様はぜひ一度ご相談ください。