電力会社が提供する低圧電力(動力プラン)とは、低圧電力の中でも供給電圧が高い電力プランのことで、主に業務用機器を使用する店舗・工場などで契約されています。
この記事では、動力プランの概要や契約メリットを従量電灯プランと比較して解説。
電気料金をチェックするときのポイントやおすすめの見直しサービスも紹介しています。
低圧電力の動力プランの新規ご契約、契約変更をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
低圧電力の動力プランとは?
低圧電力には、主に一般家庭で契約される「従量電灯プラン」と、業務用機器を使用する店舗や工場などで契約される「動力プラン」の大きく2種類があります。
まずは、従量電灯プランと動力プランそれぞれの特徴や違い、また動力プランを導入するメリット・注意点について詳しく見ていきましょう。
従量電灯プランと動力プランの違い
低圧電力(従量電灯プラン)と低圧電力(動力プラン)には、それぞれ以下のような特徴・違いがあります。
低圧電力 (従量電灯プラン) |
低圧電力 (動力プラン) |
|
---|---|---|
契約電力 | 50kW未満 | 50kW未満 |
供給電圧 | 単相100Vまたは単相200V | 三相200V |
特徴 | 供給電圧が低く、一般家庭向けの電化製品などを使用する際に適している | 従量電灯プランよりも供給電圧が高く、業務用設備を使用する際に適している |
低圧電力(従量電灯プラン)と低圧電力(動力プラン)の大きな違いは、供給電圧の高さと送電方法にあります。
低圧電力(従量電灯プラン)の送電方法は「単相」といい、配線の数が少なく電圧も低いのが特徴です。
住宅に取り付けられている2つ穴のコンセントから電源供給を受けている場合は、低圧電力(従量電灯プラン)を契約している状態となります。
一方、低圧電力(動力プラン)の送電方法は「三相」といい、配線の数が多く電圧も高くなるのが特徴です。
3つ穴もしくは4つ穴のコンセントから電源供給を受ける機械が導入されている場合は、低圧電力(動力プラン)を契約している状態となります。
低圧電力(従量電灯プラン)と低圧電力(動力プラン)の詳しい違いや仕組みについては、別記事「低圧電力と従量電灯ってどう違う?仕組みをわかりやすく解説」でも紹介しているので、合わせてご参照ください。
動力プランのメリット・注意点
低圧電力(動力プラン)の場合、電気料金の合計を安く抑えられる可能性が高いというメリットがあります。
低圧電力(従量電灯プラン)の場合は電力使用量に応じで電力量料金の単価が上昇していくのに対し、低圧電力(動力プラン)の場合は季節ごとに単価が固定となっているからです。
どれだけ電気を使用しても単価が変わらないため、電力の使用量が多い企業では特に料金がお得になりやすいと考えられます。
以下は大手電力会社における低圧電力(動力プラン)と低圧電力(従量電灯プラン)の電力量料金の比較です。
電力会社 | 低圧電力 (1kWhあたり) |
従量電灯 (1kWhあたり) |
---|---|---|
北海道電力 | 17.67円(通年) | 23.97円(~120kWh)/30.26円(120~280kWh)/33.98円(280kWh~) |
東京電力 | 17.37円(夏季)/15.80円(その他) | 19.88円(~120kWh)/26.48円(120~300kWh)/30.57円(300kWh~) |
中部電力 | 17.01円(夏季)/15.46円(その他) | 21.04円(~120kWh)/25.51円(120~300kWh)/28.46円(300kWh~) |
関西電力 | 14.43円(夏季)/12.95円(その他) | 17.91円(~120kWh)/21.12円(120~300kWh)/23.63円(300kWh~) |
九州電力 | 17.12円(夏季)/15.43円(その他) | 17.46円(~120kWh)/23.06円(120~300kWh)/26.06円(300kWh~) |
なお、低圧電力(動力プラン)は電力量料金が安い一方で、基本料金が高くなりやすいという注意点もあります。
低圧電力(動力プラン)では契約容量に基づいて基本料金を算定する方式のため、契約容量が大きい場合は月々の基本料金が数万円になることも珍しくありません。
電力の使用量が多く、電力量料金の部分で基本料金のデメリットを上回る節約効果を得られると判断された場合は、低圧電力(動力プラン)への切り替えを検討してみるのがおすすめです。
動力プランの電気料金をチェック!
低圧電力の電気料金は以下の式で求めることができます。
<基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金>
低圧電力(動力プラン)の場合、上記の「基本料金」の求め方に特徴があるため、一通り仕組みを確認しておきましょう。
基本料金は契約電力に比例するので注意
低圧電力(動力プラン)では、基本料金を求める際に以下の式を使います。
<基本料金単価×契約電力>
この「契約電力」の決め方には以下の2種類があり、どちらの方式で契約しているかによって基本料金の金額に違いが出てきます。
主開閉器契約 | メインブレーカーの定格電流値を基に契約電力を求める方法。設置されている電力機器を一度にすべて使うわけではないケースや、日によって使用する機器が異なるケースでお得になりやすい。 |
---|---|
負荷設備契約 | 使用する電力機器(契約負荷設備)の総容量に基づいて契約電力を求める方法。24時間体制で全ての電力機器がフル稼働(長時間稼働)状態となるようなケースでお得になりやすい。 |
契約中の電気設備が常にフル稼働状態となっている場合を除き、基本的には主開閉器契約の方が月々の電気料金を抑えられる傾向にあります。
とは言え、必ずしも主開閉器契約がお得というわけではなく、使用状況に適した方法を選択することが大切です。
契約電力の詳しい計算方法については、別記事「低圧電力の契約容量を計算する方法は?例を用いてわかりやすく解説」で紹介しているので、合わせてご参照ください。
力率による割引・割増の仕組みも知っておこう
大手電力会社をはじめ、多くの電力会社では「力率」と呼ばれる基本料金の割引・割増設定を設けています。
力率とは、電源から出た電力(皮相電力)のうち、実際に消費された電力(有効電力)の割合のことです。
電気料金の請求は有効電力の部分に対して行われるため、送電量に対して消費電力が少ない(=力率が低い)場合、電力会社にとっては損失となってしまうのです。
そこで“力率85%”を基準値とし、基準値を上回る場合は1%ごとに基本料金を割引、逆に下回る場合は1%ごとに基本料金を割増することで、力率が高くなるような工夫がなされているのです。
低圧電力をお得に利用する方法は?見直しして電気代の節約を行おう
低圧電力のプランや契約電力の決め方については、現在の利用状況に基づいて年間コストなどをシミュレーションしながら検討していくことが大切です。
現在はWeb上で電気料金のシミュレーションを行えるサービスもあり、月々の利用明細や契約電力、供給エリアなどを入力するだけで簡単に最適化の提案を受けることができます。
また、より本格的に電気料金の見直しを行いたいという場合は、コストの見直し・最適化などを専門に行っているプロの業者へ依頼する方法もおすすめです。
株式会社ミナオスでは、電気料金をはじめ、ガス・水道・固定資産税などの各種固定費の見直し・最適化サービスを提供しています。
特に福祉施設などのコスト削減に多くの実績があり、1,000万円以上のコスト削減に成功した事例もあります。
月々のコストを見直すことで様々なメリットが期待できますので、電気料金が高いと感じている方はぜひミナオスへご相談ください。
まとめ
- 低圧電力(動力プラン)は業務用機器向けの電力プランで、三相200Vの電源供給を受けられる
- 低圧電力(従量電灯プラン)と比較して電力量料金が安く、電力使用量が多い場合に料金がお得になりやすい
- 契約電力の算定方法や力率によっても料金が変動するため、利用状況に応じたプラン選びが重要になる
電力の使用量が多い店舗・工場などでは、低圧電力(動力プラン)の導入で電気代を安くできる可能性があります。
ミナオスなら利用状況に合わせた最適な電力プランの提案が可能ですので、電気代の節約方法でお悩みの事業者さまはぜひ一度お問い合わせください。
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